モノの値段は、すべて需要と供給で決められているわけではありません。
今回は、独占市場と寡占(かせん)市場とはどのようなものかを違いと具体例を交えながら解説していきます。
独占・寡占市場とは
独占市場とは
1つの企業が生産や販売市場の大半を支配している市場のこと。
寡占市場とは
少数の企業が生産や販売市場の大半を支配している市場のこと。
独占市場と寡占市場の違い
独占市場が1つの企業が市場を支配しているのに対し、寡占市場は少数の企業で市場を支配しています。
独占市場も寡占市場も、新しく市場に参入するのが難しいです。
独占と寡占によって起きる問題
価格が上がる
生産や販売市場を支配している企業が利益を多く出すために、勝手に価格を決定します。
その結果、価格が上がります。これを独占価格といいます。
しかし、その販売市場にはその企業の製品しかないので、必要な人は値段が高くても買う必要があるので売れます。
品質が下がる
企業の競争が無くなってくると、品質が低下する恐れがあります。
生産や販売市場を支配している企業の製品しかないので、その製品が必要な人は買う必要があるので売れます。
そのために、企業は利益を多く出すために、品質を落とします。
独占や寡占されている市場に必要なモノがあったら、価格や品質に限らず買わなくてはいけません。
価格が上がっても品質が下がっても売れるので、消費者は損をします。
このような状態を防ぐために、公正取引委員会は「独占禁止法」を定めて企業を監視しています。
「独占禁止法」で、企業間の公正で自由な競争をうながすことで、価格や品質を保ち、消費者を守ることができたり、市場の独占や不公正な取り引きなどを制限や禁止しています。
独占市場の具体例
そもそもなぜ、独占が起きるか考えた時に、独占には他社が市場への参入することをを阻む障壁があります。
「特許」は参入をのための一つの壁です。
なぜなら「特許」がなければ、新しくモノやサービスを販売することはできないからです。
例として、ネットワークを提供しているNTT、電力会社の東京電力が挙げられます。
人々の生活に欠かせないインフラは独占市場である場合が多いです。
また、製薬業界を例にすると
製薬企業が新しい薬の特許を取得したら、他の製薬企業はその薬を作ることはできません。
そのため、特許期間が切れるまでは、その薬を売ることができるのは特許を持っている製薬企業だけです。
つまり、その期間はその薬の市場が独占されます。
このような特許で独占するのを例外として、日本は独占禁止法により、大企業による独占を禁止しています。
寡占市場の具体例
例として、日本のビール市場が挙げられます。
ほぼがサッポロ、サントリー、アサヒ、キリンが占めています。
この4社で日本のビール市場は寡占していると言えます。
寡占市場を見るときのポイントは2つあります。
- 企業同士が激しく競争して価格を引き下げているか。
- 企業同士が手を組んで価格を引き上げているのか。
寡占市場には市場全体の製品価格の決定に大きく影響を与えるプライスリーダーもいます。